物で税金を納める!?その2(相続税の物納制度とは)
 

前回は相続税物納制度の概要と物納できる財産できない財産についての要件について解説しました。今回は物納の具体的スケジュールと収納価格(物納される価格・納税される額)について解説いたします。物納した場合、いつ、いくらで国は不動産を引き取ってくれるのでしょうか。


◆1.物納手続きの流れ
物納制度を利用する場合、相続発生してから相続税の申告期限まで(10ヶ月)に物納申請財産を選定する必要があります。その後、税務署(財務省)が申請財産について、個別に指摘してくる事項(補完事項)を整備し、完了することにより物納が完了(収納)します。



一旦物納申請した財産は、納税者側から変更できません。したがって物納物件は慎重に選定する必要があります。
また、物納の許可が下りるまでの期間は一旦物納申請したものを延納に切り替えたり(分割払い)売買などの理由で取り下げることも可能です。しかし、延納申請したものを物納に切り替えることは一切できませんので注意が必要です。


*売買などにより物納を取り下げる場合は、申告期限から取り下げた日までの延滞税が加算されます。しかし一旦延納に切り替えてから取り下げることにより延滞税より金利の安い利子税とすることが可能です。

◆2.収納価格(物納価格)とは
相続財産の収納価格は相続税計算の基となったその財産の評価によります。不動産の場合は申告した相続税評価額が収納価格となります。すなわち相続税評価額がそのまま現金の代わりとして納税されるのです。

前述したように物納申請から収納までは相当な期間を要します。収納許可が下りた時点で地価が大幅に下落していたとしても、原則、申告時の相続税評価額で収納されますので不動産価格が下落を続けている現在はできるだけ目減りのしない現預金を手元に残し、不動産を納税財源として物納するのが納税者にとって有利な場合があります。

●デフレ時における収納価格と財産価値イメージ

◆3.収納価格の改定
前述したように収納価格は相続税評価額が基本となりますが、物納申請時から収納までに物納財産の状況に著しい変化が生じた場合は収納価格が改定される場合があります。

●収納価格改定の例
生産緑地
行為制限解除
貸家建付地 自用地
無道路地
不適合接道
適合接道


上記は物納申請から収納されるまでに不動産に対する制約がなくなったために収納価格がアップする事例です。つまり収納時までに不動産価値が上昇するような変化があった場合は国が「高い評価(金額)」で引き取ってくれるのです。
 
反対に物納申請した建物などが毀損等により収納時までに価値が減少した場合は収納価格がダウンする場合もあります。
 
ただし、単なる地価の下落は収納価格の改定がされません。


以上のように不動産価格が下落している場合には不動産の物納制度が有利に機能します。次回以降は物納の活用方法事例についてお話させていただきます。