相続税・贈与税改正その3 (平成15年税制改正より)
 

今回は、平成15年度税制改正で創設された相続時精算課税制度と従来型の贈与税についてケーススタディを用いて比較検証してみたいと思います。

1.従来の贈与と相続時精算課税制度の税務上のメリットデメリット
2.ケーススタディによる従来の贈与と相続時精算課税制度の比較
3.贈与および相続は税金の問題だけではありません

◆1.従来の贈与と相続時精算課税制度の税務上のメリットデメリット
相続時精算課税制度と従来型の贈与、どちらを選択するかは非常に重要なポイントとなります。簡単に税務上のメリットデメリットを比較すると以下のようになります。

【 従来の贈与税の制度 】 【 相続時精算課税制度 】
メリット (1)毎年110万円の基礎控除が利用できる。
(2)相続税がかかる場合でも生前贈与分は相続財産に含めない。(ただし相続開始前3年以内の贈与財産のみ相続財産に加算する)
一度に多額の財産を贈与したい場合、高い贈与税を負担しないですむ
デメリット 一度に多額の贈与をしたい場合は、暦年の非課税枠が110万円しかないので、多額の贈与税がかかる 相続税がかかる場合には、将来評価が下がる財産を贈与してしまうと、相続時に贈与時の価額で持ち戻しされるので不利

上記のように、税務上それぞれにメリットデメリットがあるので、どちらが税務上有利であるかは贈与する人の財産額・贈与額・贈与財産の種類および贈与の回数等で変わってきます。したがってこれから贈与する場合、受ける場合ともにしっかりとした検討が必要となります。

◆2.ケーススタディによる従来の贈与と相続時精算課税制度の比較
●ケーススタディ1
(複数年にわたって従来型の贈与を活用した場合と相続時精算課税制度を活用した場合の比較)

*前提条件・・・財産総額3億5千万円、そのうち5千万円を子供に贈与したと仮定する。
          相続人子供2人・法定相続分どおりに財産を分割する。





●ケーススタディ2 (不動産の価格が変動した場合)
*前提条件・・・贈与時の不動産評価3億円その他財産2億円・相続人は子供1人と仮定する。





このように相続時精算課税制度の活用は、財産の額、贈与の回数または贈与財産が将来上昇するか下落するかによって異なってきますので、贈与を実行する際には専門家に十分相談の上、実行してください。

◆3.贈与および相続は税金の問題だけではありません
ケーススタディを用いて税金の比較をしてみましたが、相続・贈与は税金の問題だけでは解決できるものではありません。相続時精算課税制度が創設されたことによって住宅ローンや子供の教育資金など、もっともお金の必要な人に対し、必要な時にこの制度を活用することで大型の贈与が可能となりました。 大型の贈与をすることにより子供から親に対する感謝の気持ちが生まれ、亡き親の気持ちを裏切るような無用な“争族”を避けるためにも今後この制度の活用が期待されます。