デューデリジェンス(Due Diligence) とは?
 

「デューデリジェンス」という言葉をここ数年耳にすることが多くなりました。デューデリジェンスとは、英語の「Due Diligence」のことで、簡単に直訳すると「当然、しっかりと行うべきこと」です。もっとわかりやすく言うと「買主あるいは投資家が物を購入したり、投資する場合、その物や投資対象のリスクを把握するために当然行わなければならない調査」のことです。
アメリカでは古くから慣習法により「買主責任」が問われるため、企業買収や不動産投資をする際、その会社や不動産に対してDue Diligenceを行うことが当然となっています。さて、日本における不動産のデューデリジェンスとはいったいどのようなものなのでしょうか?

1.アメリカのDueDiligenceと瑕疵担保責任
2.日本のデューデリジェンスと瑕疵担保責任
3.日本の不動産調査の現状
4.デューデリジェンスの調査内容


◆1.アメリカのDueDiligenceと瑕疵担保責任
アメリカでは購入した不動産に欠陥があり、その結果、損害を蒙った場合、買主が責任を負うこととされています。
例えば、購入した建物から雨が漏ってきて多額の修繕費が発生したり、土地に有害物質が含まれており有害物質を除去あるいは土地を浄化するために多額の費用が発生した場合など、当然のように、「それは、調べなかったあなた(投資家)が悪いよ」となり、すべて買主(投資家)が責任を負うこととなってしまいます。



このようなことから買主(投資家)の多くは不動産を購入する前に自らの負担で専門家に土地や建物、経済環境などのあらゆるリスクの調査を依頼します。また、売主も買主の調査に積極的に協力し、情報開示をします。これは、売主が情報開示に協力しない部分は、その部分がリスクととられ、減額の対象となるためです。買主(投資家)は綿密なDueDiligenceの結果、その不動産を購入しない場合もあります。

◆2.日本のデューデリジェンスと瑕疵担保責任
日本では、購入した不動産に欠陥瑕疵があった場合は原則、売主がその責任を負うこととされています。例えば、購入した建物から雨が漏ってきたり、購入した土地に有害物質が含まれていたような場合には、売主に修繕や土地の浄化を求めることが可能です。(例外として瑕疵担保責任を排除する場合もあります)





このようなことから、買主は積極的に不動産に関する調査や売主に対しての情報公開を求めませんでした。また、かつては不動産価格が右肩上がりで上昇していたため、不動産の値上がり益が結果的に不動産のリスクをある程度カバーできていたのです。

最近では地価下落と不況により、多くの企業が生き残りのために保有不動産の売却を進めています。そのような経済環境の中で、今までのように売主に瑕疵担保責任を追及することが事実上、難しくなってきました。
また、地価の上昇も望めない現在では、不動産の収益性に着目した不動産投資が注目されています。つまり、不動産から生まれる収益が不動産の価値を左右する時代になってきたのです。収益を確保し、上手な投資をするためには、購入(投資)前に将来予想されるリスクをある程度、把握しなければなりません。
そのような背景の中で、日本でも投資家の視点から不動産に関してさまざまな角度から調査する「デューデリジェンス」が浸透し始めているのです。

◆3.日本の不動産調査の現状
今まで日本では不動産の調査がまったく行われていなかった訳ではありません。不動産の売買をする場合、不動産仲介会社は「重要事項の説明書」という不動産の現状調査報告書のようなものを買主(投資家)に説明し、交付していました。しかし、その内容は必ずしも買主(投資家)の要求を充たすものではありません。


◆4.デューデリジェンスの調査内容
前述したようにデューデリジェンスとは「投資家の視点に立ち、想定される、ありとあらゆるリスクの調査」です。大きく分けると、「土地」「建物」「経済環境(不動産マーケット)」の3つに分けられます。
それぞれの調査項目のイメージは次のとおりです。

●土地に関しての主な内容
・利用履歴(過去の利用用途等)の確認
・地盤及び地質(過去の状況や近隣の状況)の把握
・埋蔵物及び埋蔵文化財等の有無
・権利関係(面積や所有者、抵当権等)の確認

●建物に関しての主な内容
・建築基準法や消防に関しての適法性
・耐震性能等の確認
・建物の管理状況(修繕記録等)の確認
・付帯設備等の状況についての確認
・賃貸借関係(契約書の内容や占有状況)の確認

●経済的状況に関しての主な内容
・不動産市場等(地価や経済状況等)の把握
・立地や環境等(交通や市場ニーズ等)の把握
・賃貸相場等(近隣の賃料水準等)の把握
・運営支出等(固定資産税等)の把握
・不動産の需給関係の把握       
など


上記は一例ですが、詰まるところ、将来の「支出に関すること」と「収入に関すること」をいろいろな角度から検証するのがデューデリジェンスです。
例えば、地盤が弱ければ、将来、補強が必要になり、結果的に費用がかかるでしょうし、建物が古ければ修繕費も発生します。周辺の賃貸物件の供給が過剰気味であれば、空室になる可能性も高く、収益が見込めない場合もあります。

より正確にリスクを把握するためには、専門家に依頼するなどして、詳細な調査を行う必要があります。特に、不動産投資を行う際には、デューデリジェンスの精度の高さが投資の成否を決めると言っても過言ではありません。
今後は、より一層、自己責任のもとで、不動産購入(投資)をする時代になってくるでしょう。