一生涯良質な賃貸住宅に住める終身借家制度とは?!
(高齢者の居住の安定確保に関する法律について)
 

終身借家制度とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(以下、高齢者居住法という。)に基づく終身建物賃貸借契約による借家権のことで、高齢者単身・夫婦世帯等が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みとして、借家人が生きている限り存続し、死亡した時に終了する(不確定期限、相続性の排除)、借家人本人一代限りの借家契約を結ぶことができる制度です。
果たして高齢者が安心して居住できる良質な賃貸住宅が供給されるのでしょうか?

1.法律制定の背景
2.制度の概要
3.終身借家利用のイメージ


◆1.法律制定の背景
1.高齢者世帯の増加

日本における急速な高齢社会の進展のなか、全世帯に占める高齢者がいる世帯、特に高齢者単身・夫婦世帯の割合が高まり、その数の急速な増加が今後も見込まれています。



2.ライフスタイル・政策の変化

かつて、不動産価格が右肩あがりのときは住宅を購入すれば土地の価格が上昇し、その結果、資産形成が可能でしたので国も持家政策を実施してきました。しかし、不動産価格の上昇神話が崩壊し、国民の意識も持ち家にこだわらないようになってきました。

●住環境の変化
A. 「持ち家」にこだわらない。
  ア 子供は住まないかもしれない
  イ 相続税がかかる
  ウ 借金は嫌だ
B. 一ヶ所に定住しない
C. リスク・コストを重視する
D. キャッシュフローを考える
E. 金融資産等に投資する
F. 本当に好きなものにお金を使いたい(趣味・旅行など)
G. 少子・高齢化対策 → 一人っ子同士の結婚
双方の親から相続等によって家を2軒取得(2軒も必要ない)
H. 環境対策 「スクラップ&ビルト」の考え方の変更

日本の建物の平均寿命約26年
アメリカ 約44年  イギリス75年
日本の産業廃棄物処理場は一杯
I.. 社会的ストックとしての住宅へ
量から質への変換
(例)バリアフリー住宅(持ち家の3%、貸家の0.3%)

◆2.制度の概要
終身借家制度において住宅を賃貸しようとする者は、都道府県知事の認可を受けて、高齢者に対し、以下の終身建物賃貸借事業を実施できます。(認可事業)つまり、都道府県の認可を受けなければ終身借家付賃貸住宅の経営者にはなれません。

1)入居の対象となる者
  1.高齢者(60歳以上)であること
2.単身又は同居者が高齢親族であること(配偶者は60歳未満でも可)
2)対象となる住宅の基準
  高齢者の身体機能に対応し、段差のない床、階段・浴室等の手摺、幅の広い廊下等を備えたものであること(バリアフリー住宅) 等
3)高齢者が死亡した場合も同居者の継続居住を保証
  同居していた高齢者(配偶者は60歳未満でも可)は高齢者の死亡後1ヶ月以内の申出により継続して居住することが可能
4)解約事由
  1.家主からの解約申入れは、住宅の老朽等の場合に限定
2.借家人からの解約については
療養、老人ホームの入所、親族との同居等が理由の場合は、解約申入れ1ヶ月後に借家契約は終了
上記以外の理由の場合は、解約申入れ6ヶ月後に借家契約は終了
5)不確定期限付借家権であること
  1.不確定期限とは人の死などのように必ず到来するが、いつ到来するかわからないもの。
※不確定期限付借家権は我が国で初めて導入された
6)相続権が排除される
 
1. 借家権も財産権であるから、原則は相続される
2. 従来の借家は、上記1の原則が貫かれ、かつ正当事由制度により借家権は終了せず、結果として借家権は半永久的なものとなった。
これにより家主の「貸し渋り」を招来し、また粗悪な借家しか供給されなかった
3. 上記2のような理由から「高齢者のために広くバリアフリー住宅を普及させる」という公益目的の下に、相続権を排除した
4. 但し、相続されないのは借家権のみであり、他の権利義務(例:未払い家賃・敷金等)は相続される
7)期間付死亡時終了建物賃貸借制度の新設
  定期借家の一類型。定期借家は契約で定めた期間が満了しないと、原則終了しないが、借家人が死亡した時も、契約が終了する借家権
1.要件として終身借家の要件を満たすこと
2.借家人になる者から特に申出があること
8)その他
  1.終身借家に先立ち、1年以内の間、定期借家契約により仮入居が可能
2.借家権の譲渡・転貸の禁止
3.行政によっては終身借家付賃貸住宅の建設にあたって補助金を受けられる場合がある
4.入居時の権利金などを受け取ってはいけない

◆3.終身借家利用のイメージ