●役員の位置づけと業務内容
 
 「マンション管理の主体は管理組合であり管理組合の各構成員は居住者(区分所有者)全員である」ことはお話しましたが、何か問題が発生し解決するのに組合員全員を集めて論議していては時間ばかりかかってしまいます。何百世帯もある大規模物件ではスケジュールの折り合いをつけるのもひと苦労でしょうし、意見調整して取りまとめることも大変です。
 そこで組合員の中から管理組合運営をする人を選任して、代わりに活動してもらうことが一般的となっています。こうした組合の代表者のことを役員あるいは管理者といいます。果たして管理組合の役員はどのような業務をしなければならないのでしょうか。



 
 区分所有法では「規約に別段の定めがない限り集会の決議によって管理者を選任し、また解任することができる(同法第25条)」としています。さらに管理者と組合員との関係を「管理者は、その職務に関し区分所有者を代理する(同法第26条2項)」としており、代理権を与え集会決議の実行や規約で定めた行為に対して権利および義務を定めています。
 では、マンション管理をつかさどるキーマンとなる役員は具体的にどういう仕事をしているのでしょう。標準管理規約では役員を担当別に振り分けるよう定めており理事長、副理事長、会計担当理事、および監事を選任することとなります。そして実質的に管理運営をとり行っていくのが理事長となります。



   理事長は管理組合を代表しその業務を統括しますが、仕事内容は多岐にわたります。集合住宅の3大トラブルとされる上下階の騒音・ペット飼育・駐車場に関するクレーム処理から管理業者への助言、建物の腐食による修理から大規模修繕の取り仕切り、管理費や修繕積立金・駐車場使用料などの目的別会計の管理など、例を挙げればきりがありません。
 年齢も仕事も考え方も異なる居住者がひとつ屋根の下で共同生活をおこなっているため、価値観のズレから意見対立が起こることは避けられず、専有・共用部分に関わる権利関係の複雑さがさらに輪をかけ、常に何かしらのトラブルが起こっています。こうしたすべての諸問題に対して解決策をさがしていくのが理事長の役目であり、その責務には実に重いものがあります。
 そのせいか、役員にみずから立候補する組合員はまれで、結果的に管理組合としては順番制で半強制的になり手を見つけ出しているのが現状でしょう。なかには抽選制にしたり、報酬制を導入して業務活動に対価を支払うマンションも見受けられます 。



 
 なり手不足を解消するのに、役員となりえる資格をひろげることも有効と考えられます。「理事および監事は当該マンションに“現に居住する”組合員のうちから総会で選任する(標準管理規約第33条2項)」としていますが、優れた資質が期待できるようであれば専有部分を賃貸している外部オーナーを範囲に含めたり、区分所有者と同居する家族(通常は奥さん)にも資格を与えるといいでしょう。ほとんどの世帯主は仕事を持っており時間は自由にはなりにくく、どうしても役員活動は後回しとなりがちです。自営業の人や退職したご年配の方が役員を引受ける傾向があるのも、こうした理由からです。名前だけを連ねているのであればまったく意味がありません。

 また、既存マンションでは賃貸化も進みやすく、築年数が経つほど管理の重要性が増すことをかんがみれば賃借人を役員に就任させることも一概に否定できないと考えます。理事長は無理としても、議決権が行使できなかったり建物や敷地の持分を持ち合わせないことを除けば日常生活に関しては区分所有者と同様の義務を負うことからも一般理事となることは検討に値すると思うからです。マンション管理は「居住者の意識」が不可欠です。既成概念にとらわれず柔軟に各管理組合の事情に合わせて対応してもらいたいものです。




  提供:e住まい探しドットコム
 ファイナンシャルプランナー 平賀功一




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