連載6 Vol.10
 登記簿の所有者と本当の所有者が異なる場合(相続未登記)

所有権などを登記する「権利の登記」が任意の制度であることによって、売主と登記簿上の所有者は異なる場合もあります。言葉だけでは、なかなかイメージしにくいと思いますので、身近な例を取り上げてご説明します。

◆1.うっかり登記名義を変更していないケース
売主と登記簿上の所有者が一致していないケースで多いのが、登記名義が既に亡くなったおじいさんやお父さんのままになっていることです。

おじいさんあるいは、お父さんが亡くなったからといって、法務局が自動的に名義の変更をしてくれるわけではありません。あくまで「山田太郎から相続によって私、山田小太郎が所有者になりました。」と相続を証明する書類を添付して法務局に申請しなければ、名義はずっとおじいさんのままになってしまいます。

●相続により不動産を取得する場合の登記手続き



この手続きをとっていない場合は、当然、売主と登記簿上の所有者は異なります。このような不動産を購入する場合は、確かに山田小太郎さんが相続人であるか証明してもらう必要があると同時に、購入の時期までに山田小太郎さん名義に変更してもらう必要があります。この場合の売買と登記の流れは以下のようになります。

●既に亡くなった人の不動産を購入する場合の流れ


このように既に亡くなった人の名義のままになっている不動産は一度売主(相続人)の名義に変更しないと、買主の名義に変更できません。権利の登記は「任意」(してもしなくてもよい)というお話をしましたが、このような場合は、自らの名義に登記(これを相続登記とよびます)をしないと売却できないこととなります。
したがって、このような不動産を購入する場合は、契約前に売主名義(相続人名義)に変更してもらうのが望ましいでしょう。