「保証金の差押」 について
私は、ビルの賃貸業をしている者です。先日、裁判所から債権差押命令が届きました。私のビルのテナントの一人が入居時に私に納めている保証金を差し押さえるという内容でした。どうしたらよいでのしょうか。



あなたのビルに入っているテナントと債権者との間で金銭トラブルが生じ、債権者が貸金を回収するために、あなたに預けている保証金を差し押さえたのです。あなたが預かっている保証金は基本的にテナントの財産ですので、今後、保証金を返還する際には、あなたはテナントではなく債権者に返還することになります。

1.差押命令の意味
突然、裁判所から差押命令が届いて驚かれたことと思います。裁判所からあなたに対して差押命令が届いたのは、あなたが貸しているテナントに問題があったからです。すなわち、テナントとテナントに貸金などの債権を有している債権者との間でトラブルが生じ、債権者がテナントに対して訴えを起こし、債務を払えとの判決等を得たのだと思います。支払義務のある判決等が出てもなお債務者が支払をしない場合は、債権者は債務者の財産を差し押さえることが可能です。差押とは債務者が自分の財産を処分できないようにして、債務者の財産を債権者の債権の弁済にあてる手続です。保証金は債務者であるテナントが家主であるあなたから建物退去後に返還を受ける財産ですから、差押の対象となりますので、債権者が差押の手続を取ったわけです。



2.陳述書の作成
差押命令を受けたあなたはまず、裁判所から送られてきた差押命令に同封されている陳述書を作成して、裁判所に送付する必要があります。陳述書には、あなたがテナントから預かっている保証金の内容や今後の支払意思などについて、添付されている説明書にしたがって必要事項を記入して裁判所に返送してください(わからないことがあれば裁判所へ電話して確認した方が良いでしょう)。

3.保証金の支払い
保証金とは本来その性質にもよりますが、あなたとテナントの賃貸借契約が終了し、テナントが建物を明け渡した後にあなたに生じた損害(テナントが滞納した滞納賃料や原状回復にかかる費用等)を差し引いてテナントに返還すべきものです。ところが、差押命令があなたに送達されると、以後、あなたはテナントに保証金を支払ってはいけなくなり、テナントに払う分は債権者に支払わなければなりません。仮に、テナントに支払ってしまうと、再度債権者からの支払い請求に対し支払をしなければならなくなるので注意が必要です。

但し、差押命令が来たからといってすぐに保証金を債権者に支払う必要はありません。というのは、保証金というのは先ほども述べたようにテナントが建物を明け渡した後返還すればいいものなので、テナントが明け渡しをした後未払い賃料等を差し引いて残りがあればそれを債権者に支払うことになります。仮に、未払賃料等の損害が多額に及んで、損害を保証金に充当した結果テナントに返還すべきものがない場合は、債権者に支払うものもないので支払う必要はありません。